就職活動で「自己分析が大切」と聞いても、何から始めればよいのか、どこまで掘り下げればよいのか迷う人は多いでしょう。自己分析は、過去の経験を振り返り、自分の強み・価値観・興味を言葉にして、企業選びや応募書類、面接に生かすための作業です。
この記事では、就活アドバイザーの森山たつをさん監修のもと、自己分析の進め方をわかりやすく解説します。自己PRや志望動機へつなげる方法、取り組む際の注意点も確認しましょう。
- 自己分析の目的やメリットとは?どこまでやればいい?
- 自己分析の目的①就活の軸を明確にするため
- 自己分析の目的②マッチングミスを予防するため
- 自己分析の目的③採用担当者と適切なコミュニケーションを取るため
- 自己分析のやり方を紹介!簡単にできる5つの方法
- 自己分析のやり方① 適性検査を受ける
- 自己分析のやり方② 自分史で自分の強みや弱みを再認識する
- 自己分析のやり方③ マインドマップで思考を整理する
- 自己分析のやり方④ ジョハリの窓で自分と他人の認識のズレを確認する
- 自己分析のやり方⑤ ライフラインチャートで過去の出来事や気持ちを可視化する
- 自己分析を就活で活用!自己PRや志望動機に落とし込むコツ
- 自己分析をする際に気を付けておきたい注意点
- 自己分析の注意点①短所をマイナスに捉えないこと
- 自己分析の注意点②凡庸ワードは掘り下げて言い換えること
- 自己分析のおすすめの本3選
- 『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』
- 『あなたが「一番輝く」仕事を見つける 最強の自己分析』
- 『受かる! 自己分析シート』
- まとめ
自己分析の目的やメリットとは?どこまでやればいい?
就職活動をしていると「自己分析が大事」と聞きますよね。自己分析とは、これまでの経験を振り返り、自分の強みや価値観、興味、行動の傾向を整理することです。
では、具体的に「どこまで」深掘りすればよいのでしょうか。
結論から言うと、就活における自己分析は「志望企業に対して、自分の強み・得意なことと、それを証明する具体例(エピソード)をセットで1〜2個語れる状態」になれば完了です。自分のすべてを解き明かす必要はなく、以下の3つの目的を果たせれば十分といえます。
自己分析の目的①就活の軸を明確にするため
就職活動では、まず業界や職種、働き方など、応募先を選ぶ大まかな軸を決める必要があります。数多くの会社から応募先を選び、企業研究や書類作成、面接の準備を進めるには時間がかかります。
軸が決まらないまま応募先を増やすと、企業研究や選考対策が浅くなり、自分にあう企業を見極めにくくなります。
そこで、仕事や職場に何を求めるのかを自己分析で整理しておきましょう。
自己分析をすると、応募先を選ぶ基準が明確になります。「何が得意か」「何が好きか」だけでなく、そう感じた経験や理由まで深掘りすると、自分らしい就活の軸や強みを具体的に説明しやすくなります。
自己分析は入社後の働き方を考える際にも役立ちます。得意なことを生かせる業務や、自分が力を発揮しやすい環境を理解しておけば、企業との相性を検討しやすくなるでしょう。
自分にあった企業を選ぶためにも、自己分析は重要です。
自己分析の目的②マッチングミスを予防するため
就活の軸が決まったら、会社選びに進みます。自己分析は、会社選びの際にも役に立ちます。
自己分析で自分の希望を整理し、企業研究や社員との面談を組み合わせると、入社後に「想像と違った」と感じるミスマッチのリスクを減らせます。
会社にはその会社ごとの独自の文化があります。「この業務が得意だから」「この商品やサービスが好きだから」という思いで入社したとしても、入社後に「想定していた雰囲気と違う」と後悔すると、早期離職につながるなど、自分にとっても会社にとっても大きな損失になりかねません。
このようなことを避けるためにも、しっかりと自己分析をおこないましょう。そして、どのような雰囲気だと自然体でいられるか、どのような文化があるとモチベーションが湧くか、具体的な経験と結びつけて明確にしておきましょう。
自己分析の目的③採用担当者と適切なコミュニケーションを取るため
選考が進んでくると、直接採用担当者と話す機会も増えます。ただ、人は意外にも、自分で自分を言葉に表すのが苦手なものです。
しかし、就活においては、自分がどんな価値観や強みをもっているのか、企業に知ってもらわなくてはなりません。
企業は応募者の経験や考え方から、入社後にどのような力を発揮できそうかを確認します。
面接はコミュニケーションの場です。どれだけ自分を深掘りしたとしても、それが相手に伝わらなければ意味がありません。
自分がどんな価値観を大切にしているのか、強みは何で、それをその企業の業務にどう生かせるのか、具体的で説得力のある説明をできるようにしましょう。
自己分析によって自分の価値観や強みを把握すると、伝えたい内容に一貫性が生まれ、面接でも相手にわかりやすく伝えやすくなります。
自己分析のやり方を紹介!簡単にできる5つの方法
ひとくちに自己分析といっても、やり方はさまざま。
ここからは、簡単に取り組める自己分析の方法を5つ紹介します。
自己分析のやり方① 適性検査を受ける
手軽にできる自己分析として、適性検査を受けることが挙げられます。
質問に答えるだけで、自分の特性を診断してくれます。なかには、回答傾向に基づいて仕事や行動の例を示すサービスもあります。
自己分析に初めて取り組む人は、考えるきっかけとして適性検査を使うのもひとつの方法です。結果は回答時の状態や自己認識にも左右されるため、職業選択や応募先を診断だけで決めず、過去の経験や周囲からの意見と照らし合わせましょう。
以下では、おすすめの適性検査をご紹介します。
クリフトンストレングス(旧ストレングスファインダー)は、ギャラップ社が提供する有料の自己理解ツールです。34の資質をもとに、自分が自然に取りやすい思考・感情・行動の傾向を確認できます。
結果を過去の経験と照らし合わせると、強みを発揮した場面を整理しやすくなります。診断名だけを自己PRに使うのではなく、具体的な行動や成果とともに説明しましょう。
16Personalitiesは、回答傾向を16タイプで示す自己理解ツールです。MBTIとは異なる独自の診断であり、自己理解の参考として活用しましょう。公式サイトでは独自の「NERIS Type Explorer」を用いており、結果は「INFP」のようなアルファベットで表されます。
タイプごとに紹介される仕事や行動の傾向は、選択肢を広げる参考になります。ただし、自己申告に基づく一時点の結果であり、適職を客観的に確定するものではありません。
エニアグラム診断は、個人の思考や特性を9つに分ける診断です。「エニア」はギリシャ語で「9」、グラムは「図」の意味合いを持ちます。
タイプ1、タイプ2、などの結果が割り当てられ、主に個人のアイデンティティを知ることができます。エニアグラムの結果を自分の経験と照らし合わせると、職業に求めることや、キャリアの目標を考える手がかりになります。
BIG5-BASICは、120問への回答から「外向性」「協調性」など5つの特性と、その組み合わせによる傾向を確認できる自己分析ツールです。公式サイトでも、結果は自己理解の参考情報であり、医療上の診断や採用などの重要な判断に単独で用いないよう案内されています。
結果を経験と照らし合わせ、長所が表れた具体例を探すために活用しましょう。
自己分析のやり方② 自分史で自分の強みや弱みを再認識する
今までの人生のなかで起こった出来事を書き出していく方法が「自分史」です。時代ごとに印象的だった出来事を書き出していきます。
学校行事や受験、部活、大学のサークル、アルバイトなど、どんなことでもOK。書き出せたら、ひとつの出来事に対して「なぜ楽しかったのか」「どうして頑張れたのか」など、「なぜ?どうして?」と繰り返し自問自答し、答えを書きとめておきましょう。
この「深掘り」については、のちほど詳しく解説します。大切なのは、楽しかったことや成功したことだけではなく、挫折したこと・失敗したことについても理由を考えていくこと。
なぜなら、一見ネガティブな出来事から、自分の大切な価値観が見つかることがあるからです。
自己分析のやり方③ マインドマップで思考を整理する
思考整理の方法として注目され、ビジネスの世界でも使われるマインドマップ。やり方はとても簡単です。
まずは紙の中心に、「自分」や「自分とは」といった自己分析の大きなテーマを書きます。
そして、そこから放射線状に、「好きなこと」「これからやりたいこと」「頑張ってきたこと」などと項目を広げ、その項目から思いついたキーワードをさらにつないで書き込んでいきます。
ポイントは、連想されることを文章ではなくキーワードで書くこと。「もう思いつかない!」ところまでどんどん書くことで、深い自己分析につながります。
書き終わったら、自分にとって大切だと思うキーワードをピックアップしましょう。それが、自分の強みであり大切な価値観なのです。
マインドマップは、いろいろな考えを整理したい人、文章で考えるのが苦手な人におすすめ。アプリでマインドマップを作成できるサービスもあるので、隙間時間に自己分析をおこないたい人はチェックしてみましょう。
自己分析のやり方④ ジョハリの窓で自分と他人の認識のズレを確認する
ジョハリの窓は、「自分が知っている自分」と「他人が知っている自分」のズレを明らかにする分析法です。
「開放の窓」「盲点の窓」「秘密の窓」「未知の窓」という4つの窓に、自分の特徴を当てはめて考えていきます。
まずは、「責任感が強い」「社交的」など、人の性格や特徴を表すキーワードを一覧にしておきます。このとき、なるべくポジティブな表現のものを選んでおきましょう。
そして、自分で自分に当てはまると思う特徴をピックアップします。次に、周りの人に、自分に当てはまると思うものを挙げてもらいましょう。
最後に、自分も他人も指摘した特徴は「開放の窓」、他人だけが書いたものは「盲点の窓」、自分だけが選んだものは「秘密の窓」、他人も自分も選ばなかったものは「未知の窓」へ分類します。
ジョハリの窓は、他人の目を利用して自分を分析することがポイント。自分では知らなかった長所に気づけるかもしれません。協力してくれた人と結果を話し合うと、より分析を深めることができるでしょう。
自己分析のやり方⑤ ライフラインチャートで過去の出来事や気持ちを可視化する
ライフラインチャートは、出来事とそのときの気持ちを点数化して、グラフで表します。横軸が時間軸、縦軸が満足度を示すグラフを作成します。
まずは横軸に、自分にとって印象的だったこれまでの出来事を書き出しましょう。次に、書き出した出来事に対して満足度を点数化し、縦軸に点を打ちます。
あくまで「今自分がどう思うか」で点数化するのがポイントです。点を打ち終わったら、それぞれの点を結んでグラフを完成させましょう。
そして、グラフが上がっているところは「どうして満足度が高いのか」、下がっているところは「どうして気持ちが下がっていたのか」と、理由を考えます。
ライフラインチャートは、どういうことで充実感が得られ、反対に満足度が下がってしまうのか、一目で把握できるようになる自己分析法といえるでしょう。
自己分析を就活で活用!自己PRや志望動機に落とし込むコツ
自己分析の結果、自分が大切にしている価値観が見つかり、しっかりと言葉にできたら、自己PRや志望動機に落とし込んでいきましょう。
ポイントは、自分の強みや価値観と合致する、応募先の企業の特徴は何かを考えること。企業は「どうしてうちの会社なのか?」「この会社で何をしたいのか?」を見ています。
そのため、自分の強みや価値観と、企業独自の特徴をからめて伝えることで、「御社じゃないとだめなのです!」という志望動機や、「自分は御社で活躍できます!」というPRになるのです。
たとえば、「一人ひとりにじっくり向き合うことが好き」という価値観を持っている場合。
志望する企業の営業スタイルが、「お客様一人ひとりとじっくり向き合って、最適なプランを提案する」なら、自分の強みが活かせることを示せるでしょう。
自己分析をする際に気を付けておきたい注意点
自己分析をおこなうときに、注意しておきたいポイントが2つあります。
より多くの価値観や強みを見つけるため、さらに、効果的な自己PRや志望動機につなげるために、しっかりと押さえておきましょう。
自己分析の注意点①短所をマイナスに捉えないこと
自己分析の結果、自分の長所だけでなく、短所や苦手なことが浮かび上がってくることも。
短所を「ダメなこと」と決めつけず、どのような場面で表れやすいか、どう工夫して補っているかまで整理しましょう。
たとえば、「融通がきかない」という短所が見えてきたとき。「決めたことをやり遂げやすい」という側面がある一方、状況の変化に対応しにくい場合もあります。
長所への言い換えだけで終わらせず、「複数案を用意する」「早めに周囲へ相談する」など、改善のための行動も伝えることが大切です。
自己分析の注意点②凡庸ワードは掘り下げて言い換えること
自分の人生を振り返り、価値観や強みを知ることができたら、それをあなた独自の言葉で伝える必要があります。
なぜなら、ありきたりな言葉では、ほかの就活生も強みとしてPRしてくる可能性があるから。
たとえば、「社交的な人間だ」という強みが見つかったなら、「初めて会う人とでも仲間になれ、協力関係が築ける」と言い換えてみましょう。
「自分はこのように力を発揮できる」と企業がイメージできるよう、経験や行動を交えた具体的な言葉を選ぶことが大切です。
自己分析のおすすめの本3選
「自分のやり方で自己分析ができているのか不安」という人に、おすすめの本を3つ紹介します。
『さあ、才能(じぶん)に目覚めよう 新版 ストレングス・ファインダー2.0』
ギャラップ社の「クリフトンストレングス」について、34の資質の特徴と活用方法を解説する書籍です。
新品には、オンラインでアセスメントを受けて上位5資質を確認するためのアクセスコードが付属します。中古品ではコードが使用済みの場合があるため注意してください。
診断結果と解説を、過去に力を発揮した経験を振り返る材料として活用できます。
『あなたが「一番輝く」仕事を見つける 最強の自己分析』
面接経験の豊富な著者が、強みを生かすための自己分析の進め方を解説している一冊です。長く読まれてきた自己分析本を、現在の就職活動の傾向も踏まえて読みやすくまとめてあります。
企業側が何を求めているのかを知り尽くした著者が、強みを生かして仕事で活躍するための自己分析を指南。
解説を読むだけではなく、自己分析を実践できるワークが付いています。企業側の視点を知りつつ自己分析をしたい、という人におすすめです。
『受かる! 自己分析シート』
「自己分析」のみならず、「他己分析」や「企業研究」まで実践的に取り組める本書。解答例や解説を読みながら、41のワークシートを使えば、深い自己分析がおこなえるでしょう。
本書に取り組めば、自己分析の結果をエントリーシートや、面接の回答に落とし込むことが可能です。自己分析のやり方がいまいちわからない、じっくりと自己分析に取り組みたい、という人におすすめの一冊です。
まとめ
この記事では、自己分析のメリットや簡単なやり方、深掘りの方法、注意点を紹介しました。
自己分析は一度で完成するものではありません。企業研究やインターン、面接を通じて新たに気づいたことがあれば、就活の軸や強みの説明を見直しましょう。
紹介した方法から取り組みやすいものを選び、結果を具体的な経験と結びつけながら、自分にあう進路を考えてみてください。


