高校・大学入試では、小論文が課されることがあります。「何から書けばよいかわからない」「作文との違いが曖昧」と悩む方もいるでしょう。小論文は、設問に答える主張を示し、根拠や具体例を使って論理的に説明することが大切です。
この記事では、「総合型選抜専門塾AOI」の小論文責任者・河守 晃芳さん監修のもと、構成のつくり方、書く前のメモ、文字数や原稿用紙の基本、例文を解説します。提出先によって指定は異なるため、実際の試験では、最新の募集要項と設問の指示を最優先してください。
- 小論文の書き方のコツ|構成の基本を理解しよう
- 「小論文」と「作文」の違いを理解しよう
- 構成の基本は「序論・本論・結論」
- 「主張→根拠(理由)→具体例→結論」の流れが◎
- 小論文で書く内容を構成に沿って考える
- 小論文の書き方のコツ|基本ルール8つを紹介
- ①指定文字数と条件を守る
- ②文体を「だ・である調」か「です・ます調」に統一する
- ③段落分けや改行を適切に入れる
- ④倒置法や体言止め、曖昧な比喩は多用しない
- ⑤促音や拗音、句読点、「」などの記号は1マスに1字ずつ
- ⑥縦書きの原稿用紙なら数字の書き方は漢数字
- ⑦口語体(話し言葉)や略語はNG!
- ⑧同じ言葉を繰り返さない
- 小論文の構成ごとに例文を紹介
- 序論
- 本論
- 結論
- 小論文の書き方まとめ
小論文の書き方のコツ|構成の基本を理解しよう
小論文と作文は、どちらも自分の考えを書く文章ですが、評価されるポイントが異なります。小論文では設問に正面から答え、主張と根拠のつながりを読み手に示す必要があります。
まずは、作文との違いと基本構成を例文で確認しましょう。
「小論文」と「作文」の違いを理解しよう
作文では、体験や感情を自分らしく表現することが重視されます。一方、小論文は、与えられた問いに対する立場を示し、その理由を筋道立てて説明する文章です。
経験を書く場合も、出来事を紹介するだけで終わらせず、その経験から何がいえるのかを主張につなげます。小論文では、設問への回答、根拠の妥当性、文章全体の論理的なつながりが重要です。
構成の基本は「序論・本論・結論」
読み手に主張を伝えるには、書き始める前に構成を決めます。基本形の一つが、序論・本論・結論です。
課題文型、資料読み取り型など設問の形式によって組み立て方は変わりますが、ここでは「外国人労働者の受け入れ」を例に、各部分の役割を確認します。
- 序論:日本は外国人労働者を大量に受け入れるべきだ。
- 本論:日本の人口は年々減り続けており、将来労働人口が減ることは明らかだ。
- 結論:現在の私たちの生活や治安を守るためにも、外国人労働者を大量に受け入れる必要がある。
この例文を使って、それぞれの段落の役割について解説していきます。
【序論】
序論は、与えられた設問の意図を理解し、結論を伝える部分です。序論で結論を述べることで、内容がぶれることなく最後まで書くことができます。
また、読み手にとっても、書いてあるジャンルや内容が推測しやすくなり、ストレスなく読み進めることができます。例文では、「外国人労働者の受け入れに賛成である」としています。
【本論】
本論は、結論に沿って自分の意見を述べ、論理的に話を広げていく部分です。自分の意見だけでなく、客観的な証拠などが提示できると、説得力が増します。
【結論】
結論は、もう一度自分の主張を述べ、文章全体をまとめる部分です。例文では、全体をまとめるとともに、序論で述べた主張を繰り返しています。
「主張→根拠(理由)→具体例→結論」の流れが◎
この流れは、実際に小論文を書くときに 「主張・その根拠・具体例・結論」と考えると書きやすいです。
先ほどの例文を、この流れに従って書き直してみましょう。
- 主張:日本は、受け入れ環境を整えながら外国人労働者の受け入れを進めるべきである。
- 根拠:人手不足への対応には多様な担い手が必要だが、受け入れ人数を増やすだけでは地域での共生が難しいからだ。
- 具体例:日本語学習、相談窓口、適正な労働条件を整えることで、働く人と受け入れる地域の双方が安心しやすくなる。
- 結論:受け入れと支援を一体で進めることが、持続可能な人材確保につながる。
主張だけでなく、理由と具体例を続けると、考えの道筋が伝わりやすくなります。根拠には、課題文や提示資料の内容、信頼できる統計、具体的な制度、関連する経験などを使います。出典を示せない数値や、確認できない事実を作らないよう注意してください。
小論文で書く内容を構成に沿って考える
説得力のある小論文を書くためには、構成が大切であることが理解できたと思います。
それでは次に、構成を考えるコツについてまとめておきましょう。
出題の主旨や問題の条件を把握する
最初に、設問が何を求めているかを確認します。「理由を述べる」「資料を踏まえる」「具体例を挙げる」などの指示語に印を付け、テーマ、答える項目、文字数、制限時間をメモしましょう。
課題文の要約を求めているのか、自分の意見を求めているのかも区別します。条件を見落とすと、文章が整っていても設問への回答になりません。
聞かれたことに対して抜け漏れなく解答する
設問の条件が何かを確認し、求められていることに対して抜け漏れることなく解答することが大事です。
たとえば「日本の労働力不足に対する解決策を述べよ」と問われていたら、「解決策」について焦点を当て、述べなければなりません。
労働力不足の原因など、聞かれていない点を細かく説明する必要はありません。ただし、主張の前提として必要な場合は、簡潔に触れましょう。
聞かれたことには最初に的確に記述する
設問で聞かれたことについては、文頭でまず的確に記述しましょう。
読み手は、まず結論を知りたいと考えているからです。先ほどと同じく、 「日本の労働力不足に対する解決策を述べよ」と問われていたら、「解決策は、移民の受け入れです」と初めに書くのです。
結論を書いてから、その主張を補完する根拠や具体例をていねいに述べればよいでしょう。
主張したい内容が決まったら構成に落とし込む
問題文を読んで、結論が決まったら、構成を考えましょう。
構成とは、文章全体の設計図のようなものです。思いつくままに書き始めてしまうと、とりとめがなく、説得力に欠ける文章になります。
また字数が足りなくなってしまったり、論点が結論からずれてしまったりすることも。読み手を納得させる、効果的な構成を考えてみましょう。
主張を補完する根拠を出す
説得力のある小論文には、主張をしっかりと補完する根拠が書かれています。読み手は、あなたの主張に対して「本当なの?」と思っています。
主張を補完する根拠とは、「そうか、そういう理由で主張するんだね」と理解してもらうためのものです。
根拠を補完する具体例が思いつく場合は書き出しておく
その根拠の信頼性を高めるためには、具体例が必要です。
具体例は、抽象的な理由を読み手が理解する助けになります。提示資料、公的機関の統計、制度や事例、自分の経験などから、主張と直接関係するものを選びましょう。
数を増やすより、一つか二つの例について主張との関係を説明するほうが効果的です。正確に確認できない数値や固有名詞は使用しないでください。
論点や自分の考えはメモを活用して整理する
小論文の構成ができあがったら、結論の説得力を高めるような材料や、具体的な根拠を集めます。
その際、メモを活用して整理することが効果的です。頭のなかだけで考えていても、しっかりと内容をまとめることは難しいものです。
キーワード、構成の流れ、具体例を入れる場所など、思いついたことはどんどんメモに書き出してみましょう。
図解や記号、矢印、イラストなどを使って、視覚的にわかりやすく書くと、整理しやすくなります。メモを取ることで、具体的な構成をイメージしながら原稿用紙に向かえるようになりますよ。
小論文の書き方のコツ|基本ルール8つを紹介
構成を決めたら、指定された形式にあわせて本文を書きます。以下の8項目は一般的な目安です。学校・大学や試験方式によってルールが異なる場合があるため、募集要項、問題冊子、解答用紙の注意事項を優先してください。
①指定文字数と条件を守る
小論文の問題のほとんどが、「○○字以内で」「約○○字で」と文字数に制限がついています。
この設問の文字数は、どのように解釈すれば出題者の意図にあうのでしょうか。設問のパターンにあわせて解説します。
「○○字以内」と指定された場合
「800字以内」は800字が上限であり、801字以上は条件違反です。下限が明示されていなくても、主張・根拠・具体例・結論を十分に説明できる分量を確保しましょう。
8~9割はよく使われる目安ですが、一律の採点基準ではありません。設問や募集要項に最低字数、空欄の扱い、句読点の数え方が示されている場合は、その指示に従ってください。
「○○字以上○○字以内」と指定された場合は、その上限に近づけて書く
上限と下限が指定されている場合は、必ずその範囲に収めます。上限へ近づけること自体が高得点を保証するわけではありません。必要な論点を過不足なく説明し、推敲の時間も残せる分量を目指しましょう。
「○○字前後」「約○○字」と指定されたら、文字数に近づけて書く
「前後」「約」とある場合は、指定文字数へ近づけます。前後1割は一般的な目安ですが、提出先が許容範囲を示していればその指示を優先してください。書き終えたら、条件を満たしているか数え直します。
②文体を「だ・である調」か「です・ます調」に統一する
小論文では「だ・である調」がよく使われますが、「です・ます調」が一律に禁止されているわけではありません。重要なのは、設問や提出先の指定に従い、文章全体で文体を統一することです。
指定がなければ、簡潔に論を進めやすい「だ・である調」を選ぶとよいでしょう。
③段落分けや改行を適切に入れる
読み手にわかりやすい小論文を書くためには、必要に応じた段落分けをしなければなりません。
段落分けは、構成をはっきりさせるために大切です。それぞれの段落では、いいたいことをひとつに限ると読みやすくなります。
原稿用紙のルールとして、段落が変わる際には、必ず行頭を1文字下げることも忘れないようにしてください。
また、ときどき改行を入れることも大切です。 改行は、段落内で内容が変化するときや、長い段落でひと呼吸置くときなどにおこないます。明確な改行ルールはないので、読み手にとって読みやすくなるよう工夫してみましょう。
④倒置法や体言止め、曖昧な比喩は多用しない
前述したように、小論文では「客観的で説得力のある論理展開」が大切です。
倒置法や体言止め、曖昧な比喩は、意味が伝わりにくくなる場合があるため多用を避けます。
倒置法
倒置法とは、文章の語順をあえて通常とは逆にし、言葉の印象を強める表現方法です。
通常の語順ではインパクトがありませんが、倒置法を使うことで、倒置した部分を読み手に訴えかける文章になります。しかし、倒置法は文学的表現なので、小論文では使いません。
体言止め
体言止めとは、語尾を名詞や代名詞などの体言で止める表現方法です。語尾が体言で止まっているため、文章のリズムが変化し、次の文章への注意を引きつけることができます。
ただし、体言止めでは主張が明確に伝わらず、論理的な文章とならないため、小論文では使用しません。
比喩表現
比喩表現には、「直喩」「暗喩」「擬人法」があります。
直喩は、「まるで夢のようだ」など、「ようだ」「たとえば」の語を使う表現方法です。暗喩は、「彼は歩く百科事典だ」のように、何かに例えて表現します。
擬人法は、「風が頬を撫でる」のように、人間以外のものを人間に例える表現方法です。
比喩はいずれも主観的な表現方法であるため、客観的な論理展開を必要とする小論文には向いていません。
⑤促音や拗音、句読点、「」などの記号は1マスに1字ずつ
促音(そくおん)とは、「がっこう(学校)」「はっぴょう(発表)」「ハッピー」など、小さな「っ」「ッ」で表されている音のことです。
そして拗音(ようおん)とは、「きょうかしょ(教科書)」「ちゅうか(中華)」「りゅうこう(流行)」のように、小さな「ゃ・ゅ・ょ」がついている語のこと。
促音や拗音も、原稿用紙は1マス使います。したがって、「ちゅうか」の場合は、4マス必要です。また、句読点やかっこなども同様で、それぞれ1マス使います。
ただし、句読点や閉じかぎ(」)を行頭に置くことはできません。その場合は、前の行末のマスの文字とあわせて、2文字を1マスに書きます。
かぎかっこ「 」は引用や語句を示すときに使う
かぎかっこ(「」)は、引用、会話、語句を示す場合などに使います。強調だけを目的に多用すると読みにくくなるため、引用箇所や特定の語句を明確にする必要がある場合に限って使うとよいでしょう。
⑥縦書きの原稿用紙なら数字の書き方は漢数字
縦書きの原稿用紙を使い慣れている方は、少ないのではないでしょうか。
縦書き原稿用紙では、漢数字を使うのが一般的です。
「二〇二一年」「一八六四年」のように数字をそのまま並べる書き方のほか、「二千二十一年」「千八百六十四年」のように「千」や「百」などの位(位取り)を含めて書いてもよいです。ただし、書くスタイルはどちらかに統一しましょう。
横書きでの英数字の書き方も含め、実際には学校や試験の指定が優先されるため、募集要項や解答用紙の指示を確認しましょう。
⑦口語体(話し言葉)や略語はNG!
話し言葉や略語を使うと、文章が論理的になりません。また、読み手の理解を妨げる可能性があります。必ず書き言葉を使い、正式名称で書くようにしましょう。
「~たり」は2回以上連続で使用する
「たり」は、並列・列挙の場合に使われる用法です。したがって、ひとつの例だけを挙げる場合には使いません。
3回使うことも文法上問題ありませんが、列挙が多く、くどい印象があります。
どうしても3回使う場合には、文章を分けるなど、言い換えてみましょう。
「とか」は使用NG
「とか」は、話し言葉で使われます。したがって、小論文では使うことができません。適切な書き言葉に書き換えましょう。
オノマトペ(擬態語・擬音語)を使用しない
オノマトペとは、擬態語や擬音語のこと。
擬態語とは、状態を文字で表現したものを指し、たとえば、「キラキラ」「ニヤニヤ」「コツコツ」「スラスラ」などがあります。
また擬音語は、「ワンワン」「ガタンゴトン」「ビリビリ」のように、ものが発する音を文字で表したものです。
これらオノマトペも、論理的表現には向いていないため、小論文では使いません。
1人称は原則として「私」を使う
自分の意見を示す際、一人称が必要なら一般的には「私」を使います。ただし、毎段落で「私は」と繰り返さなくても、主語が明らかなら省略できます。身内について書く場合は、「お父さん」「おじいちゃん」ではなく、「父」「祖父」などの書き言葉を使いましょう。
⑧同じ言葉を繰り返さない
近接同語とは、ひとつの文章内で同じ言葉を繰り返すことです。近接同語を使った文章は、単調で無駄が多くなってしまいます。
また、重複表現とは、同じ意味のことを重複して使用する表現のこと。二重表現ともいいます。
同じ語が近くに続くと読みにくくなるため、代名詞を使う、文をまとめる、適切な類語へ置き換えるなどして整えます。ただし、重要な専門用語まで無理に言い換える必要はありません。
小論文の構成ごとに例文を紹介
最後に、序論・本論・結論をつないだ例を確認します。ここでは「自動車の自動運転の進化について自由に述べなさい」という仮の課題を使います。実際の試験では、提示資料と設問の条件に沿って根拠を選んでください。
序論
序論では、“与えられた設問の意図を理解し、書くべきテーマと結論を決める”と解説しました。
テーマは「自動車の自動運転」です。序論では、自動運転についての問題提起からおこないます。
今回は、「自動運転は積極的に導入すべき」という結論で書きます。
| 例文 |
|---|
| 私は、地方都市での移動手段として、自動車の自動運転を積極的に導入するべきと考える。 |
この例文のように、序論で重要なのは「問題提起をすること」「結論を述べること」です。
今回は「地方都市は自動運転を積極的に導入すべき」が結論にあたります。読み手にわかりやすいように、あまり主観を入れすぎず、簡潔に書きましょう。
本論
続いて本論について説明します。本論は、序論で明確にした主張を具体的に展開し、読み手に納得してもらう部分です。
そのためには、「意見の提示」と「論拠の提示」に分けて書き進めるのが効果的です。
意見の提示
| 例文 |
|---|
| 地方都市が過疎化する原因のひとつに、自由に移動できないことがある。鉄道が廃線となってしまうと、運転できない人々の行動範囲はバスに限られてしまう。自動運転により、運転技術がなくても移動が自由にできるようになるだろう。ルートさえ設定すれば、急な坂道でも難なく上り下りできるようになる。自動運転の地方都市への恩恵は計り知れない。 |
「意見の提示」では、序論で述べた結論の理由を簡潔に述べます。
論拠の提示
| 例文 |
|---|
| 地方では、運転者不足や利用者減少を背景に、路線バスの維持が課題となっている。国土交通省の資料では、2016年度から2024年度までに路線バス約1万5,804kmが廃止された。安全性や運行費用、利用者の需要を検証しながら自動運転を導入できれば、地域の移動手段を補う選択肢になり得る。 |
主張には、確認できる根拠を結び付けます。ここでは国土交通省の資料を使い、対象期間と数値を明示しています。統計を使う場合は、資料名、調査時点、数値の対象を取り違えないようにしましょう。
結論
結論は、今までの構成をまとめ、読み手に主張を確認してもらう部分です。
| 例文 |
|---|
| このように自動車の自動運転は、地方都市の移動手段として大いに期待できる。積極的に導入するべきだと考える。 |
今回のサンプルでは、「自動車の自動運転の進化について自由に述べなさい」という課題に対し、「地方都市で積極的に導入すべき」という解答をしました。
小論文の構成として、序論で主張、そして本文で説得し、結論で再度主張していることがわかると思います。
小論文の書き方まとめ
小論文は、設問を分解し、主張・根拠・具体例・結論をメモしてから書き始めるとまとめやすくなります。書き終えたら、設問に答えているか、根拠に誤りがないか、段落同士がつながっているか、指定字数と表記ルールを守っているかを確認しましょう。
日ごろからニュースや公的資料に触れ、「事実」と「自分の意見」を分けて要約する練習も有効です。受験する学校・大学の最新の募集要項と過去問を確認し、実際の形式と時間にあわせて書く練習を重ねてください。


