高校受験を前に、「志望校に落ちる確率はどれくらいだろう」と不安になる受験生や保護者は少なくありません。
ただし、倍率から算出できるのは、その学校・選抜区分を受検した集団全体の不合格率です。個人の合否は、学力検査、調査書、面接などの選抜方法や現在の成績によって変わります。
本記事では、応募倍率・受検倍率・実質倍率の違い、不合格率の計算方法、合格可能性を判断する材料、受験までにできる対策を解説します。第一志望に不合格だった場合の進路も確認し、落ち着いて受験計画を立てましょう。
高校受験で落ちる確率は一律には決められない
高校受験で不合格になる確率は、全国共通の一つの数値では表せません。学校・学科・選抜区分ごとの受検者数と合格者数に加え、本人の学力検査、調査書、面接・作文などの評価を確認する必要があります。
倍率を見るときは、何を分母・分子にした数値なのかを確かめましょう。
倍率だけでは個人の高校受験で落ちる確率はわからない
倍率には、応募者数を募集人員で割った応募倍率、実際の受検者数を募集人員で割った受検倍率、受検者数を合格者数で割った実質倍率などがあります。同じ「倍率」でも意味が違うため、数値の名称と算出方法を確認してください。
たとえば実質倍率が1.5倍なら、受検者全体では合格者1人に対して受検者が1.5人いたことを示します。しかし、受検者の成績は同じではありません。集団全体の不合格率を、そのまま自分が落ちる確率と考えることはできません。
学校別の合格可能性を検討するときは、倍率に加えて、選抜方法、過去の合格者の成績分布、模試の判定、内申点と当日点の状況を組み合わせて考えましょう。
2026年度の都立高校入試における合格率・不合格率
東京都教育委員会によると、2026年度(令和8年度)の都立高校入試で、全日制の第一次募集・分割前期募集等は受検者35,310人、合格者27,934人でした。この数値から算出すると、受検者全体の合格率は約79.1%、不合格率は約20.9%です。
全日制の推薦に基づく選抜は、受検者20,428人、合格者9,150人でした。受検者全体の合格率は約44.8%、不合格率は約55.2%です。
これらは都立高校全体を集計した値で、特定の学校や受験生個人の合格可能性を示すものではありません。学校・学科によって実質倍率は大きく異なります。2027年度(令和9年度)入試を受ける場合は、東京都教育委員会が公表する最新の募集案内、応募状況、選抜結果を確認してください。
※参照:東京都教育委員会「令和8年度東京都立高等学校入学者選抜合格状況総括表(全日制)」、東京都「令和8年度推薦に基づく選抜等 合格状況総括表」
過去の倍率は同じ学校・選抜区分で比較する
倍率の傾向を見るときは、都道府県全体の平均ではなく、志望校の同じ学科・選抜区分を数年分確認します。募集人員の変更、学科改編、推薦枠の変更、近隣校の募集状況などによって倍率は動くためです。
過去の倍率が安定していても、次年度も同じになるとは限りません。出願後に志願変更ができる地域では、最終応募状況も確認しましょう。倍率は受験校を検討する材料の一つとし、倍率の低さだけを理由に学校を選ぶことは避けましょう。
地域・学校・選抜方式によって条件が異なる
高校入試の仕組みは都道府県によって異なります。公立高校でも、学力検査と調査書の比重、面接・作文・実技検査の有無、推薦や特色選抜の方法は一律ではありません。
私立高校も、一般入試、推薦、単願・併願などで募集条件が異なります。「併願優遇」などの名称や運用も地域・学校ごとに違うため、中学校の進路指導と各校の募集要項で確認してください。
都市部は必ず高倍率、地方は必ず低倍率とは限りません。居住地の教育委員会と志望校が公表する最新情報を使い、自分が受ける選抜区分で判断しましょう。
志望校の倍率・不合格率を調べる方法
公立高校の募集人員、応募者数、受検者数、合格者数は、都道府県教育委員会の公式サイトで確認できます。私立高校は、学校公式サイトの入試結果や募集要項を確認しましょう。
実質倍率は「受検者数÷合格者数」で求めます。不合格率は、同じ選抜区分の受検者数と合格者数を使い、「(受検者数-合格者数)÷受検者数×100」で算出できます。
不合格率は、実質倍率を使う場合に限って計算できます。計算式は、1から実質倍率分の1を引いた値です。応募倍率や受検倍率にこの式をそのまま使うと、正しい不合格率にならないことがあります。
学校別の数値を比較するときは、年度、学科、推薦・一般などの区分をそろえてください。募集人員割れでも全員が合格するとは限らないため、各校の選抜基準も確認しましょう。
高校受験の合格可能性を高めるためにできること
合否を確実に予測する方法はありませんが、志望校の選抜方法を理解し、現在地にあった対策を続けることで準備の精度は高められます。倍率の変化に振り回されず、次の行動へ落とし込みましょう。
志望校と併願校を具体的に検討する
志望校は、難易度だけでなく、教育方針、学科・コース、通学時間、校風、進路実績、部活動などを確認して選びます。学校説明会や文化祭、公式サイトを利用し、入学後に学びたい内容があるかを考えましょう。
第一志望だけでなく、合格したら実際に通いたい併願校も検討します。出願条件、試験日、合格発表日、入学手続期限、延納制度の有無を一覧にすると、手続きの見落としを防げます。
入試日から逆算して学習計画を立てる
志望校の出題範囲と過去問を確認し、基礎の復習、弱点補強、過去問演習、最終確認の順に計画します。過去問は点数だけでなく、時間配分、間違えた単元、記述の不足を分析しましょう。
計画は週単位で見直します。予定より遅れたときは学習時間を無理に増やすだけでなく、優先順位を調整してください。学校の授業と定期テスト対策も続け、十分な睡眠時間を確保することも重要です。
調査書の扱いを確認し、日々の学習に取り組む
公立高校入試では、多くの地域で学力検査と調査書などを選抜資料として使います。ただし、対象学年、教科ごとの扱い、学力検査との比重は都道府県や選抜方式によって異なります。最新の実施要項を確認しましょう。
評定は、定期テストの点数だけで決まるものではなく、各教科の観点に基づいて評価されます。授業内容を理解し、課題へ取り組み、提出期限を守るなど、日頃の学習を着実に続けてください。
※参照:文部科学省「確かな学力」
模試は判定だけでなく答案を分析する
模試の偏差値や合格判定は、受験者集団、実施回、判定方法によって変わります。一度の判定を合否の確定値と考えず、複数回の推移や教科・単元別の結果を確認しましょう。
模試後は、知識不足、解法の理解不足、時間不足、ケアレスミスに分けて復習すると、次の学習計画を立てやすくなります。
地域の入試制度に対応した模試か、志望校の受験者がどの程度参加しているかも確認し、中学校や塾の先生と結果を共有してください。
第一志望に不合格だった場合の進路
第一志望の結果が不合格でも、進路がなくなるわけではありません。併願校への進学、二次募集・追加募集、定時制・通信制などの選択肢があります。
出願できる学校と期限は地域・年度によって変わります。受験前に、合格発表日、入学手続期限、次の募集の日程を保護者と確認し、在籍する中学校へすぐ相談できるようにしておきましょう。
併願校へ進学する
併願校に合格している場合は、手続期限を確認したうえで進学を決めます。第一志望ではなかったとしても、学校の授業、行事、部活動、資格取得、大学進学支援など、入学後に活用できる機会はあります。
気持ちをすぐ切り替えられないことも当然あります。結果だけで努力を否定せず、少し時間を置いてから、進学先で取り組みたいことを具体的に考えましょう。
保護者や周囲の大人は、「大学受験で必ず巻き返せる」と安易に断言せず、進学先での3年間の過ごし方を本人と一緒に考えることが大切です。
二次募集・追加募集を確認する
公立高校などでは、募集人員に達していない学校・学科を中心に二次募集や追加募集をおこなう場合があります。実施の有無、募集人員、出願資格、検査内容、日程は教育委員会の公式情報で確認してください。
募集から試験までの期間が短いこともあります。自己判断で出願を進めず、中学校の進路担当へ早めに相談し、調査書など必要書類の準備と手続期限を確認しましょう。
定時制・通信制などを検討する
定時制高校や通信制高校でも、必要な単位を修得するなど卒業要件を満たせば、高等学校卒業資格を得られます。通学頻度、学習方法、スクーリング、サポート体制、学費、卒業までの仕組みは学校によって異なります。
全日制の合格発表後に出願できる学校もありますが、すべての学校が該当するわけではありません。募集要項と学校説明会で確認し、本人の生活や学び方にあうかを検討しましょう。
倍率を正しく読み、合格に向けた準備を進めよう
高校受験の「落ちる確率」は、倍率だけで一律に判断できません。応募倍率・受検倍率・実質倍率の違いを確認し、志望校の同じ学科・選抜区分について、教育委員会や学校が公表する最新情報を調べましょう。
個人の合格可能性を考えるときは、選抜方法、内申点、模試、過去問の結果を組み合わせます。倍率が上がっても、やるべき対策が急に変わるわけではありません。弱点を分析し、学習計画を定期的に見直してください。
第一志望に不合格だった場合も、併願校、二次募集、定時制・通信制などの進路があります。受験前から日程と手続期限を確認し、不安が強いときは家族、中学校、塾の先生へ相談しながら準備を進めましょう。



