「生成AIに勉強を教えてもらったけれど、答えは本当に正しい?」「AIは嘘をつくと聞いたけれど、学習に使って大丈夫?」と不安に思う人もいるでしょう。
実際には、生成AIは意図的に嘘をつくのではなく、もっともらしい誤情報や誤回答を出すことがあります。この記事では、その理由と見抜き方、安全な使い方をわかりやすく解説します。
- 生成AIはなぜ誤情報を出す?勉強に使う前に知っておきたいこと
- もっともらしい誤情報を生成する現象とは?
- 生成AIが誤った回答を出す主な理由
- 勉強中に遭遇しやすい生成AIの誤回答のパターン
- 生成AIの答えをそのまま信用できない理由
- 大規模言語モデルは語句の続き方を予測して回答を生成する
- 言語や分野によって回答精度が異なる
- 最新情報や教科書改訂を反映しているとは限らない
- 生成AIの誤情報を確認する4つの方法
- ①教科書や一次情報を基準に確認する
- ②信頼できる資料で裏取りする
- ③生成AIに「その根拠(出典)を教えて」と深掘りして質問する
- ④数字、歴史上の日付、固有名詞は目視で確認する
- 誤情報に注意しながら生成AIを勉強に活用する方法
- 暗記ではなくサポートとして使う
- 英作文の添削やプログラミングのコードチェックに活用する
- 生成AIに「私の解答の間違いを探して」と頼む
- 自分が書いた文章の「反対意見」を出してもらい思考を深める
- 【保護者向け】子どもの生成AI利用とどう向き合うべきか?
- 生成AIを「回答者」ではなく「伴走者」として位置づける
- 生成AIが出した回答の根拠を必ず教科書で確認させる
- 生成AIの回答を確かめながら、自分の頭で考えて勉強しよう
生成AIはなぜ誤情報を出す?勉強に使う前に知っておきたいこと
生成AIの回答は、自然で詳しく見えても正しいとは限りません。まずは、どのような仕組みで誤情報が生まれるのかを理解しましょう。
もっともらしい誤情報を生成する現象とは?
生成AIが、事実と異なる内容や根拠のない内容を、確信があるような文章で出力する現象を「ハルシネーション」と呼びます。
生成AIは、入力された質問に対して統計的に続きやすい語句を予測して文章を組み立てます。そのため、読みやすい回答を作れても、事実の正しさが保証されるわけではありません。
米国国立標準技術研究所(NIST)も、生成AIが誤った内容を自信があるように提示する現象を「confabulation」としてリスクに挙げています。
※参考:NIST AI Risk Management Framework: Generative Artificial Intelligence Profile
生成AIが誤った回答を出す主な理由
生成AIが誤った回答を出す主な理由は、次のとおりです。
最新情報へアクセスできるか、回答に出典を表示できるかは、サービス、モデル、設定、利用時点によって変わります。機能名だけで正確性を判断せず、回答の根拠を確認してください。
勉強中に遭遇しやすい生成AIの誤回答のパターン
勉強中には、次のような誤りが起こる場合があります。
生成AIの答えをそのまま信用できない理由
生成AIの回答を適切に使うには、文章が作られる仕組みと、サービスごとに機能が異なることを理解する必要があります。
大規模言語モデルは語句の続き方を予測して回答を生成する
ChatGPTなどの大規模言語モデル(LLM)は、学習したデータの統計的な傾向と入力内容をもとに、次に続く語句を予測して回答を生成します。
この仕組みにより、正確で有用な回答が得られる場合がある一方、文章として自然でも、事実と異なったり前後で矛盾したりする回答が生まれることがあります。
言語や分野によって回答精度が異なる
生成AIの性能は、モデル、言語、分野、質問の仕方によって異なります。専門知識や地域固有の制度、文脈の理解が必要な質問では、誤りが生じる場合があります。
日本史、法律、古文・漢文なども、教科書や専門資料と照合してください。
最新情報や教科書改訂を反映しているとは限らない
教科書の内容や学習範囲は改訂されることがあります。また、生成AIが最新情報を検索できるかどうかは、利用するサービスや設定によって異なります。
学校で使用している教科書や先生の説明、公式に公表された最新資料を優先してください。
生成AIの誤情報を確認する4つの方法
生成AIを使ってはいけないというわけではありません。大切なのは「疑う力」を持つことです。
以下のステップでAIの回答を確認しましょう。
①教科書や一次情報を基準に確認する
複数の生成AIが同じ回答をしても、正しいとは限りません。反対に、回答が違うだけで一方が誤りだとも断定できません。
確認するときは、次の順序を基準にしましょう。
AI同士の多数決ではなく、根拠となる資料の内容で判断してください。
②信頼できる資料で裏取りする
生成AIの回答が、手元にある教科書や図録と合致しているか確認してください。
また、ネットで調べる際も、個人のブログではなく、たとえば文部科学省などの官公庁のホームページや「NHK高校講座」など信頼できる学習サイト、大手予備校などの公式サイトで検索する癖をつけましょう。
③生成AIに「その根拠(出典)を教えて」と深掘りして質問する
生成AIに「根拠は何か」「出典はどこか」と尋ねることは、確認の出発点になります。ただし、提示された書名、論文名、URL自体が誤っている場合もあるため、必ず実在と内容を自分で確認してください。
④数字、歴史上の日付、固有名詞は目視で確認する
次のような情報は、特に確認が必要です。
回答文を眺めるだけでなく、元資料を開いて内容が一致するか確認しましょう。
誤情報に注意しながら生成AIを勉強に活用する方法
生成AIは、正解を任せるのではなく、考えを整理したり別の視点を得たりする補助として使いましょう。利用前には、学校や先生が示すルールも確認してください。
文部科学省は、生成AIのハルシネーションやバイアスを理解し、出力を採用するか自分で判断すること、ファクトチェックをおこなうことなどを示しています。
※参考:文部科学省 初等中等教育段階における生成AIの利活用に関するガイドライン Ver.2.0
暗記ではなくサポートとして使う
「1600年に何が起きた?」と聞くのではなく、「関ヶ原の戦いがなぜ起きたのか、中学生にもわかるように3つのポイントで教えて」と聞いてみましょう。
流れや背景を理解するきっかけにした場合も、誤った因果関係や事実が含まれる可能性があります。教科書や授業資料と照合しましょう。
英作文の添削やプログラミングのコードチェックに活用する
英作文やプログラムについて、修正候補や見直す観点を尋ねる使い方があります。ただし、文法説明やコードの修正案にも誤りがあり得るため、辞書、文法書、実行結果などで確認してください。
生成AIに「私の解答の間違いを探して」と頼む
生成AIに答えを作らせるのではなく、自分の解答を添削してもらうのです。
「この数学の証明で、論理が飛んでいるところはある?」と尋ねると、見直しの観点を得られる場合があります。指摘が正しいかは、途中式や定義に戻って自分で確かめてください。
自分が書いた文章の「反対意見」を出してもらい思考を深める
小論文や感想文を書く際、「私はこう思うけれど、反対の立場からはどんな意見があるかな?」と生成AIに問いかけてみてください。
自分一人では気づかなかった視点を得られる場合があります。出された反対意見の妥当性を検討し、自分の主張を見直す材料にしましょう。
【保護者向け】子どもの生成AI利用とどう向き合うべきか?
保護者は、子どもの発達段階や学校の方針を踏まえ、家庭での利用ルールと情報の確かめ方を一緒に確認しましょう。
生成AIを「回答者」ではなく「伴走者」として位置づける
子どもと、学校のルールを守りながら生成AIをどの場面で使うか、どのように回答を確かめるかを話し合ってください。
生成AIを使う場合は、答えを任せるのではなく、考えるための補助として扱うことを確認してください。
生成AIが出した回答の根拠を必ず教科書で確認させる
子どもが生成AIを使って宿題をしていたら、「これ、教科書のどこに書いてある内容かな?」と一声かけてみてください。
生成AIの回答と教科書を照合し、違いの理由を自分で考えることが、情報を確かめる練習になります。
生成AIの回答を確かめながら、自分の頭で考えて勉強しよう
生成AIの回答には、誤情報や内部矛盾が含まれることがあります。文章が自然かどうかではなく、教科書や一次情報で根拠を確認してください。
また、学校のルールを守り、個人情報を入力しないことも大切です。生成AIの答えを丸写しせず、考え方や見直しの観点を得る補助として使い、最終的には自分で判断しましょう。
※個人情報保護委員会は、生成AI利用時にプライバシーポリシーを確認し、個人情報など他人に知られたくない情報の入力に注意するよう案内しています。
※参考:個人情報保護委員会 中高生向け個人情報リスク啓発資料



