担任と合わないと感じたとき、どう動けばよいか迷う保護者は少なくありません。子どもが担任と合わないと訴える場合は、相性の問題か、早めの対応が必要な問題かを見極めることが大切です。
この記事では、学校への相談方法、担任を変えてほしいときの伝え方、改善しない場合の相談先を順に解説します。
担任と合わないと感じるのはよくあること?
担任と子どもの間に行き違いが生じることはあります。たとえば、はっきり注意する先生を「怖い」と感じる子どももいれば、細かく声をかけられることを負担に感じる子どももいます。
先生の指導に問題がなくても相性が合わない場合があります。ただし、暴言や体罰、いじめの見過ごしなど、相性だけでは片づけられない問題が潜んでいることもあります。
また、子どもから聞いた内容と、学校で起きていることが完全には一致しない場合もあります。これは子どもがうそをついているという意味ではありません。強く傷ついた場面だけを覚えていたり、先生の意図と受け取り方がずれていたりすることがあるためです。
大切なのは、最初から「先生が悪い」「子どもにも問題がある」と結論づけないことです。子どもの感じたつらさは受け止めたうえで、具体的な状況を確認しましょう。学校へ相談する目的も、先生の評価を決めることではなく、子どもが安心して学べる状態をつくることに置くと、協力して解決策を探しやすくなります。
まず確認したい子どもの変化
担任への不満が一時的なものか、早急な対応が必要な状態かは、言葉だけでなく生活全体から判断します。朝の表情、睡眠、食欲、腹痛や頭痛の有無、帰宅後の様子、欠席や遅刻の増減などを確認しましょう。
「いつからつらい?」「先生のどんな言葉や場面が嫌だった?」「どうなれば少し安心できそう?」と、答えを誘導しない聞き方をするのがポイントです。話したがらないときは問い詰めず、「話したくなったらいつでも聞くよ」と伝え、話せる機会を待ちます。
様子を見てもよいケース
一度注意されて腹を立てている、席替えや係決めをきっかけに不満を感じているなど、原因が比較的はっきりしており、家庭では落ち着いて過ごせている場合は、数日程度見守ることで気持ちが整うこともあります。登校できていて、友だちとの関係や食事、睡眠に大きな変化がないかも確認してください。
ただし、「登校しているから大丈夫」とは限りません。子どもが我慢している可能性もあるため、見守る期間を決め、変化は記録しておきましょう。
「今週は様子を見て、週末にもう一度話そう」と伝えておくと、子どもも相談の機会を持ちやすくなります。つらさが続く、同じ出来事が繰り返される、心身の変化が現れるといった場合は、静観を続けず学校へ相談しましょう。
早めの相談が必要なケース
腹痛や頭痛、眠れない、食欲が落ちる、朝になると強く不安になる、登校をしぶる、欠席が増える、突然泣くといった変化が続く場合は、早めの相談が必要です。
「消えたい」「自分を傷つけたい」などの発言、実際の自傷、暴力や体罰、いじめ、性的な被害が疑われる場合は、様子見にせず安全確保を優先してください。
まず学校の管理職や養護教諭、スクールカウンセラーなどへ連絡し、心身の症状がある場合は医療機関にも相談します。今すぐ命にかかわるおそれがあるときは、子どもをひとりにせず、119番や110番へ連絡してください。
緊急性の判断に迷う場合は、地域の救急相談窓口や自治体の相談窓口を利用できます。
また、夜間や休日を含めて相談できる文部科学省の「24時間子供SOSダイヤル(0120-0-78310)」も、子ども本人と保護者が利用できます。
担任と合わないときに親ができる対処法
担任との関係を改善する方法は、事情によって異なります。次の手順を参考に、子どもの負担が少ない方法から進めましょう。
ただし、安全にかかわる問題や重大な不適切指導が疑われる場合は、担任との話し合いから始めず、最初から管理職や教育委員会へ相談しても構いません。
子どもの話を否定せずに聞く
子どもが担任への不満を口にしたら、「先生にも事情がある」「あなたが悪かったのでは?」とすぐに反論せず、まず「それは嫌だったね」「話してくれてありがとう」と受け止めましょう。ここで受け止めるのは子どもの感情であり、事実関係をすべて確定することではありません。
保護者が強く怒って先生の批判を始めると、子どもが「大ごとにしたくなかった」と口を閉ざす場合もあります。「学校に相談してよい?」「先生にはどこまで伝えてよい?」と本人の希望を確認することも大切です。
ただし、命や身体の安全にかかわる場合は、秘密にすると約束せず、「あなたを守るために信頼できる大人へ相談する」と説明してください。
事実を時系列で整理する
学校へ連絡する前に、子どもの話と保護者が確認した事実を分け、時系列で記録します。整理したいのは、日時と場所、先生の言動、周囲にいた人、子どもの反応、その後の心身や登校状況の変化、これまで学校へ相談した内容です。連絡帳や配布物、学校から届いたメッセージも残しておきましょう。
「いつもひどい」「先生は子どもを嫌っている」といった推測よりも、「1月20日の授業後、子どもは先生から○○と言われたと話し、翌朝から腹痛を訴えています」と具体的に伝えるほうが、学校も確認しやすくなります。
子どもの話を録音する必要はありません。何度も詳しく聞くことが負担になる場合もあるため、聞き取りは必要な範囲にとどめましょう。
連絡アプリ・連絡帳・面談で共有する
緊急性が低い場合は、連絡アプリや連絡帳で面談を申し込みます。長い主張を書き連ねるより、「子どもが学校生活について不安を訴えているため、状況を共有して相談したい」と要点を伝え、落ち着いて話せる時間を設けてもらいましょう。
面談では、事実、子どもへの影響、希望する対応の順で話すと伝わりやすくなります。たとえば、次のように伝えます。
先生の説明も聞き、対応内容と確認時期を決めます。「しばらく様子を見ます」で終わらせず、「誰が、何を、いつまでおこない、いつ振り返るか」を確認するのがコツです。面談後は、認識違いを防ぐため、合意した内容を簡潔に書いて共有してもよいでしょう。
学年主任や管理職にも相談する
担任へ相談しにくい、担任に伝えても改善しない、説明と実際の対応が異なる場合は、学年主任、教頭、副校長、校長などへ相談します。これは担任を飛び越えて攻撃するためではなく、学校として状況を共有し、複数の視点で支援を考えてもらうためです。
これまでの経緯と記録、子どもの現在の状態、学校に求める具体的な対応を簡潔に伝えましょう。担任変更だけを唯一の条件にすると話し合いが進みにくいことがあります。
まずは、別の教員による見守り、座席や班の調整、休み時間の居場所、相談担当者の設定など、子どもの困りごとを減らす方法も検討します。
校内外の支援先を利用する
学校には、養護教諭、スクールカウンセラー、スクールソーシャルワーカーなど、担任以外の相談先があります。スクールカウンセラーは心理面の支援、スクールソーシャルワーカーは家庭や福祉機関などとの連携を主に担いますが、配置状況や利用方法は学校・地域によって異なります。まず学校へ確認してください。
学校内で相談しづらい場合は、市区町村や都道府県の教育委員会、教育センター、教育相談所、教育支援センターなどへ相談できます。心身の不調が続く場合は、小児科や児童精神科などの医療機関も選択肢です。
文部科学省も、不登校またはその傾向がある場合は在籍校と連絡を取り、地域の教育相談窓口などを利用できると案内しています。相談先の名称や対象は自治体によって異なるため、公式サイトで確認しましょう。
相談しても改善しないときの選択肢
相談を重ねても子どもの負担が軽くならない場合は、「今の教室へ毎日通うこと」だけにこだわらず、安心と学びを守る方法を検討します。保健室や別室で過ごす、校内教育支援センターを利用する、登校時間を調整するなど、学校内でできる対応を相談しましょう。
文部科学省の「COCOLOプラン(誰一人取り残されない学びの保障に向けた不登校対策)」では、学級に入りづらい子どもが落ち着いた空間で自分にあったペースで学べる校内教育支援センターの整備が示されています。
学校外では、教育支援センター、フリースクール、オンライン学習などがあります。学校外の施設や自宅でのICT学習が、一定の要件を満たした場合に出席扱いとなることもありますが、自動的に認められるわけではありません。利用前に校長や教育委員会へ相談し、出席や成績評価の扱いを確認してください。
いじめや教員による体罰・暴言などが不登校の背景にある場合は、学校が事実確認と安全確保をおこなったうえで、教育的配慮として学級替えや転校が検討されることがあります。転校を考える場合は、通学区域、受け入れ条件、学習内容の違い、子どもの希望を確認し、在籍校と教育委員会へ相談しましょう。
環境を変えることは逃げではありませんが、転校だけで不安がすべて解消するとは限らないため、必要な支援を転校先へ引き継ぐことも大切です。
学校とのやり取りが進まない場合は、相談日、相手、回答、決まった対応を記録し、次の相談先へ共有します。いじめ、体罰、重大な安全上の問題が疑われる場合は、教育委員会の相談窓口や法務省の「こどもの人権110番」など、内容にあった外部窓口の利用も検討してください。
担任と合わない場合は学校への相談を検討しよう
担任と合わないと感じたときは、保護者の印象だけで結論を出さず、まず子どもの話を否定せずに聞き、生活や心身の変化を確認しましょう。具体的な出来事を時系列で整理して担任へ相談し、改善が見られない場合や直接話しづらい場合は、学年主任や管理職などへ相談先を広げます。
学校へ伝えるときは、先生を責める言葉ではなく、「子どもが今どう困っているか」「どのような状態を目指したいか」「学校と何を確認したいか」を具体的にすることが大切です。担任と保護者は、立場は違っても子どもの成長を支えるパートナーです。一度の面談で解決しなくても、対応内容と振り返りの時期を決めることで、状況を確認しながら次の手を考えられます。
大切なのは、先生を変えることだけを目的にするのではなく、子どもが安心して過ごし、学べる環境を整えることです。家庭を安心して気持ちを話せる場所にし、必要に応じて学校外の居場所や専門的な相談先も活用してください。子どもの心身や安全に深刻な変化があるときは、学校との調整を待たず、医療機関や公的な相談窓口へ早めにつなげましょう。



